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『ブロークバック・マウンテン』

一夏をともに過ごし愛し合うようになった2人の男の、20年間。
それぞれに妻子を持つようになっても、互いを必要とするイニスとジャック。その関係に気づきなじる妻に、違う、君は何も分かっていない、と反論するイニス。その叫びはリアルで切ない。違う、違うんだ。君への誠実と愛は嘘じゃない。だが・・・

20年間はイニスにもジャックにも2人をとりまく家族にも苦い歳月の連続だった。誰もが互いを気づかいながら、自分の居場所じゃないそこで、心を抑えて暮らしを重ねる。

終盤、死したジャックを迎えいれた両親の静かな哀しみが沁みる。その哀しみの共有を許されたイニス。しかしそれは彼の孤独を埋めるなにものにもならない。

特筆するドラマは何もない。それがかえって現実感のある、人生のままならなさの映像化となった。ただもう切ない。この切なさは人生の普遍。

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