『パラダイス・ナウ』
題名だけはホワイトデーに観るにふさわしい。
いや、内容も逆の意味でふさわしいか。
東京都写真美術館にて観賞。
パレスチナで自爆攻撃に向う二人の青年の二日間を描く。彼らの逡巡、葛藤、そして絶望。イスラエルでこの映画が「パレスチナへの同情心を生んでしまう」がゆえに、上映反対運動が起こったというエピソードにもうなずかされる力を持つ。
「占領者が犠牲者だと?彼らが犠牲者を演じるなら、僕も同じように犠牲者になるしかない。そして殺人者に・・・」
物語が終り、無音で黒い画面のエンドロールが流れる数分間、観客の誰もが立とうとしない。身動きする音すら聞こえない。私もその一人。ラストの重さは彼らを見過ごしてきていることへの自責か。
自爆攻撃は狂信者の仕業とされる。日本でも、欧米でも。しかしそれは一面では、自ら考え想像することから逃れるための理由付けでしかない。
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